症状について

ストレス

ストレスについて考えてみましょう。 ストレス状態は、片手でつかまれたゴムまりにたとえることが出来ます。
ゴムまりを指でつかむと、ゴムまりは凹んだり、歪んだりしますが、それでも元の状態の戻ろうと、中から押し広げてくる力が働いているのが分かります。
この様に、何らかの力が加わり、凹んだり歪んだ状態をストレス状態といい、それでも元の状態に戻ろうとする反応を、ストレス反応といいます。
ストレスを加えるものをストレッサーといいます。私たちは、毎日、ストレスをかけてくる色々なストレッサーに囲まれて生きていますので、いつでも、ストレス状態を経験しているといえます。

ストレスはどこに、どう現れるでしょうか。

  • からだに出る人もいます。頭痛・腹痛・吐き気・肩や首のこり・不眠・めまい・目の疲れ・呼吸困難・心臓のドキドキ・圧迫感・手足のしびれ、などなどいくらでもあります。
  • 心の中に出ることも多いです。驚き・不安・恐怖・心配・悲しみ・イライラ・不注意・くよくよ・無気力・現実感の麻痺、など数え上げたら切りがありません。
  • 行動に出てしまうこともあります。引きこもり・乱暴・攻撃・無茶食い・浪費などなど様々な形で現れます。

ストレスのとらえ方と、それへの対応は人によって違います。

  • 楽観的にとらえる人は、こんなことはたいしたことではない、と軽く考える人で、物事の意味を過小に評価しているかも知れません。
  • 悲観的にとらえる人は、物事を心配し過ぎたり、悪い方へ悪い方へと考えてしまう人です。
    できごとを過大視しすぎています。笑われたらどうしよう、叱られたらどうしよう、失敗したらどうしよう、などと想像上の出来事を心配している人です。
  • 客観的に捉える人は、落ち着いて、冷静に物事を見つめることができるます。事実に基づいて判断し、行動できる人です。
  • 無関心でいられる人は、物事を自分に関係がないこととして、自分から切り離したり、現実を見ないようにしている人です。
  • 考えがまとまらない人は、何がなんだか分からない、どうしたらよいか分からない、気持ちがおさまらない、と言いつつ、時間を無駄に費やしていることがあります。時には行動発散してしまう人もいます。

ストレス状態がこうじてくると・・・。

私たちは、周囲の状況との関わりの中で、自力で対応しきれない場面や状況に出くわすことがよくあります。 そんな場合、その場で納得のいく、あるいは自分なりに満足だ、と思える対応ができないことがあります。
また、その場に対応するのに必要な能力や、技能や、気力や、忍耐力が十分に備わっていない場合もあります。

その場で対応できないと思うことで、ときには自分は劣っているかも、遅れているかも、到底やっていけないかも、皆についていけないかも、と思うかも知れません。
また、自信を失い、落ち込み、そのことが皆に知られて恥ずかしい、などと思うかも知れません。

でも、自分はできない、劣っている、ついていけないと思いたくない。
それに周囲から期待されている。ここから、いまさら抜け出せない、と思うこともあるでしょう。
そんな場合、行かねばならないが、行けないし行きたくない。
行ったら困難が一杯待ち受けているので、それに圧倒されてしまう、という思いがあるかもしれません。 そうしたことで、心の整理が付かないとき、何かで失敗したり、発破をかけられたりすると、その場にいることが一層、つらくなってしまうでしょう。

そのような体験の中で傷つき、自己イメージをいちじるしく損なっているかも知れません。 その後、その場に居続けることで、処理しきれないほどの強い苦痛や、不安や、ときには恐怖感や、緊張感まで感じるようになり、これからもまた、同じような事態が続くのではないか。もし、そうなったらどうしよう、と自動的に心配するようになっていきます。

そう思うようになってから、周囲の目が気になり、皆が自分をどう思っているかを考えているうちに、不安や恐怖がいっそう高まっていきます。

その後、恐怖や不安を感じると、その場に行くのを避けるようになった、としましょう。 ところが、一旦、その場から逃げたり、行くのを避けたりしますと、その時は、不安感や恐怖感は一時的に解消しますが、その後が大変です。

その場に行くのが、以前よりもいっそう辛く、怖くなっていきます。すると次の機会も、その場を避けたくなります。 こうした避ける行動を繰り返すうちに、ますます、その場に行くのが苦痛になり、不安になり、恐怖感や緊張感がどんどん強まっていきます。

無理にその場に近づこうとすると、頭痛、腹痛、嘔吐など、身体反応までが起きるようになってきます。 こうして、ストレス状態は固まってしまいます。

ところがそれでも、必ず解決の方法はあります。そのお手伝いをするのが、カウンセリングです。

安らぎを得るための道筋

いま、自分がやらねばならぬことに注目し、目の前のことから片づけていく方法があります。これは当面の問題に焦点をあてて対処していく方法です。

  • 大きい問題は、小さく砕いて、出来るところから取りかかりましょう。
  • 次ぎに、近くの人に話してみましょう。そうすれば、大事なことが見えてきます。
  • そのうちに、自分のやるべきことや、対処の仕方に気づくことがあります。
  • 目標を下げてみましょう。

そうすると出来ることが沢山あることに気づくでしょう。
考え方を変えることで、気持ちの混乱がおさまることがあります。

自分のこれまでの習慣的な考え方を変えてみると、気持ちが落ち着いてきます。
これまでとは180度違った考え方をしてみることです。
突然、視野が明るくなってきます。 呼吸の仕方を変えたり、筋肉をゆるめると、気持ちが楽になっていきます。

胸式呼吸から腹式呼吸へ呼吸の仕方を変えてみるのも一つの方法です。
交感神経が優位な状態から、副交感神経が優位な状態へと切り替えることでストレスを解消していくこともできます。

悪いストレスからよいストレスへ

私たちは、いつでも、どこででも、ストレスにさらされています。
ストレスのない社会はありません。ストレスにも良いストレスと悪いストレスがあります。
我慢できるストレス、楽しいストレス、やる気の出るストレス、自信をもって対処できるストレス、乗り切れるストレス。これらはよいストレス、といってよいかも知れません。
解決への意欲が湧かないストレス、我慢できないストレス、心配したり、恐怖を抱かせるストレス、自力で克服できないストレスなどは、悪いストレスといってもよいでしょう。

ストレスの意味を考え、悪いストレス減らし、良いストレスに変えていくのがカウンセリングであり、心理相談のおもな仕事です。 以上のことについて当研究所では、カウンセリングの中で、具体的な方法をご紹介しています。

対人恐怖(社交不安障害)

このことで困っていらっしゃる方は、ご自分の外見や、表情や、仕草などで、他の人を不愉快にさせるのではないか、と心配するあまり、毎日の生活に支障が出ている方です。
これらの人々は、人前でしゃべったり、何かをするとき、不適切で、恥ずかしい思いをしないかが気がかりなので、人の集まるところに出向くのがとても苦痛です。それ以外に、ご自身のことについて自信がなく、人に引け目を感じていらっしゃいます。
また、日々の生活のなかで、他人が自分自身をどう思っているか、どう見られているかにきわめて敏感で、人から否定的な評価を受けないだろうか、という心配が先立ってしまいます。

対人恐怖は人との関係のなかで起きますが、親しい友達と二人きりなら、何とかその場はしのげます。しかしそこへ、もう一人の人が加わり、仲間と三人になると、自らその場から身を引いてしまうことがあります。カラオケに誘われても、尻込みしてしまいます。人前でマイクを持って歌おうとすると、声が出なかったり、無理に出そうとすると声が震えてしまうからです。この様なことでお困りの方でも、なごやかな雰囲気のなかで、じっくりお話をお聞きしていくうちに、解決のめどがついていきます。

カウンセリングでは、どの様な場面で、どのような時に困難を感じられるかを、具体的に明確にしていきます。具体的な場面が次々に明らかになりますと、もっとも参加しやすい場面から、もっとも参加しにくい場面までを順番に並べ、それらの場面に慣れるためのプログラムを作っていきます。初めはイメージリハーサルから始めます。しかしイメージでの練習は、しょせん畳の上での水泳練習に過ぎませんので、それに慣れてくると、現実場面で実践して頂きます。その時も、やさしい場面から始めます。

このカウンセリングでは、心身をリラックスさせる方法も身につけて頂きます。その際には、自律訓練の標準練習をご紹介することにしています。対人恐怖の方は人と接するとき、相手の表情や仕草に過敏に反応したり、ご自分の振る舞いを否定的にとらえたりする傾向があります。こうした方には、その方特有の、習慣的に身に付いてしまった自己認識のパターンを修正して頂く練習もいたします。その際には、認知療法とか認知行動療法と呼ばれる方法を用います。こんなふうにご説明すると、たいへん難しいように聞こえるかも知れませんが、ゲーム感覚で、楽しみながら練習される方もいらっしゃいます。また必要ならば、自己主張能力を高める訓練をしたり、適切な対応の仕方を学習する機会を設けたりしています。

これらの機会を通して、対人関係の様々な場面に耐えられる自信を形成していきます。これが対人恐怖を改善するもっとも近道だと考えています。

強迫性障害(強迫行為・強迫観念)

強迫性障害は、かつては強迫神経症と呼ばれていました。強迫性障害は、強迫行為と強迫観念の二種類に分類できます。
強迫性障害は、強迫観念よりも強迫行為を先に治療します。
治療の前に、症状の成り立ちやメカニズム、症状の維持要因、治療の仕方、等について、わかりやすくご説明し、十分にご理解頂き、治療を進める際、曝露反応妨害法と認知行動療法をおもに採用します。
また、強迫性に関する心理テストを実施し、その結果に基づいた治療の手順を、お客様と一緒に考えていきます。

強迫性障害でお越しになる方は、お医者様から処方されたお薬を服用されている方が大部分です。お薬は、カウンセリングや心理療法と両立しますので、お薬を併用されることに、何の問題もありません。
強迫観念の治療は、強迫行為の治療が終わった頃から、開始します。このやり方が一番効率的で、無理なく進めることが出来ます。
治療を成功に導くためには、本人の強い意志の持続と周囲の方々のご協力が欠かせません。それ故、家族の方々とのお話し合いの必要性も出てきます。強迫性障害解消へのプログラムは、事前準備が十分に出来た段階で、最も取り組みやすい場面から取りかかり、漸次、難しい段階へと進めていく形になっています。それ故カウンセリング活動は、じっくり時間をかけて行うことになります。
なお、小中学生など子どもの強迫性障害の治療には、ご家族のご協力が欠かせません。 また、厳しすぎる躾(しつけ)、完璧さの過剰要求、子どもとのいさかい、言い争いは、治療期間を長引かせてしまいます。完璧・厳格・こだわりを捨て、受容と寛容の精神をもつことが不可欠です。

パニック障害

パニック障害は、急に恐怖や不安、動悸、息苦しさなどが襲って来る病気です。
パニック障害は、エレベーターや、車、電車等の使用が怖い、という形でも表れます。

パニック障害は、カウンセリング、認知行動療法、曝露反応妨害法を用いて治療します。
パニック障害の方は、破局的なことが必ず起きる、絶対起きると思わせる力をもっていますので、深刻さを大げさに考え過ぎる習慣を修正することから始めていきます。
パニック障害に伴う外出恐怖の治療は、恐怖場面を具体的に明らかにし、それらを順序立て、どう克服するかについて、お客様としっかり話し合った上で、実行に移していきます。
外出恐怖を徐々に改善し、外出できる場面をどんどん広げていく治療法を、私たちは曝露反応妨害法と呼んでいます。
パニック障害で悩まれる方は、病院から貰ったお薬を服用されている方が大部分です。投薬と心理療法とは両立します。むしろ両立させるほうが、治療は効果的であり、心理治療の期間も短縮できます。

播州カウンセリング研究所は、パニック障害を次の手順で克服していきます。

  1. パニック障害について現状把握のために、面談後に簡単な心理テストを実施いたします。
  2. パニック障害について理解を深めて頂くために、分かりやすい心理教育を実施いたします。
  3. パニック障害の特徴を明確化した後で、お客様に最適な治療プログラムを提案いたします。
  4. パニック障害が起きないよう、対処法を習得して頂きます。
  5. パニック障害に伴う不安や心配を解消する方法を習得して頂きます。
  6. パニック障害が起きる場所や状況に向き合えるよう、自信を強化していきます。
  7. パニック障害に伴うお客様特有の身体症状を解消していきます。

抑うつ状態

抑うつ状態は、だれでもがなりやすい状態です。一昔前までは、中年以降のものと考えられていましたが、最近は、低年齢化の傾向にあり、小学生や中学生にも見られるようになりました。中学生の不登校生にも、働き盛りの方々にも広がっています。
私たちのところへお越しになる方は、すでに通院されており、さらに心の安定を得たい、という方々が多いようです。

抑うつにも様々な種類があります。その特徴は、身体面と精神面の両面に現れることが多いようです。なかには精神面よりも身体面により多く特徴が現れるので、当初は、からだに関係する病院へ行かれる方もあるようです。抑うつ状態の方とカウンセリングするとき、見落とさないようにしている特徴がいくつかあります。

悲しい感じや、落ち込んだ感じが続いているかどうか、これまで楽しめていたことに、楽しみがもてない状態にあるかどうか、それらのことが、どれくらい長く続いているか、などです。最初どんなきっかけでお越しになったかをお聞きします。それらを分類しますと、次のようになります。食欲が出ない、眠れない、朝スッキリした気分で起きられない、しんどい、だるい、やる気が出ない、モティヴェーションが上がらない。物事に集中できない、思考がまとまらない、言葉がうまく出てこない、仕事が手につかない、仕事に自信がもてない。職場の人間関係がうまくいかない、人の行動が気になる、人とうまく対応できない、話しているうちに悲しくなってくる。何でも悲観的に考えてしまう。自分は何のとりえもない人間だ。これまで人生をいい加減に過ごしてきた。それを思うと罪悪感にさいなまれる。職場を当分休んだものか、それとも休まずに続けた方がいいかについて、なかなか決心が付かない。

この様な特徴が二つ、またはそれ以上に現れるので、相談はたっぷり時間をとって、多方面の話題について、じっくりお話をお聞きするようにしています。すると、落ち込んだ心の状態や、抑うつ気分の全般的な底上げが起こり、当面の課題がハッキリ見えてきます。ご家族や周囲の方々にも、ご理解を頂かなければならないことが沢山あります。まず、ご本人は怠けていらっしゃるのではないことを分かってあげましょう。この状態になると、不機嫌になったり、ふさぎ込んだり、動きが遅くなりますが、ご本人は、そのことでとても苦しんでいらっしゃることを分かってあげましょう。必要があれば、ご家族の方にもご相談の時間をとり、これからの対応についてお話し合いをして、ご理解を頂くようにしています。

※特別なことをする場合は、なぜそうするのか、その方法を採用するとどんな利点があるのか、などを十分にご説明し、納得して頂いてから、始めることにしています。